江藤塾

メニュー

新着情報 etalk 当塾からのお知らせです

小学校の国語教科書が、難しくなりすぎている問題

近頃、新井教授のグループで発表された中学生、高校生が教科書の短文すら読めていないという問題が話題になっています。

ところが、実は小学1年生から同様の問題は生じています。これは文法ではなく、語句の意味を知らないという問題です。実はいま(少なくともこの30年来でかつてないほど)国語の教科書が難化しています。相場感覚としては30年前の小学3年生ぐらいに難しく、長い内容をいまの小1がやっているというところでしょうか。

そのためほとんどの小学生が小学校の国語教科書でわからない語句のあるまま単元を終えていきます。

1例としては、小学1年生の教科書(文京区立小学校採択・ひろがることばの1年下)の「たががはずれる」の「たが」という語句が出て来ます。ですが、知る限り、どのクラスも先生方のの解説なしで進んでいきます。そしてかなり国語のできる子供でも、「たが」の意味を把握していません。

これは二重の意味で損失です。
まず、できる子にとってはせっかくボキャブラリーを増やすチャンスなのに、それが放っておかれます。
次に、国語が苦手な子供にとっては、意味不明のお題目を読まされることになり(最近は、音読の宿題が盛んです)意味のわからない言葉を強制的に読まされるという「学習効果の期待できにくい学習」を強制される事態になっています。

もう少し突っ込みようはあると思うので塾内・塾外でリサーチ中ですが、「小学生が国語教科書の単語を理解できない問題」は、子供たちが義務教育の場面で、日本語をなれない外国語のように読んでいるということを意味します。

12月9日 追記その1:躓きやすい言葉について下リンクの論文があったものの「どういう言葉がどれくらい難しいか」を、成人も対象にした調査ではありません。ここのとこ、画竜点睛を欠くように思えます。
http://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20171208233909.pdf?id=ART0010153547

追記その2:学力の中上位層(高校受験のV模擬で80パーセント合格ラインが65ぐらいの学校の、高校3年や、YNなどの大手中学受験塾偏差値で80パーセント合格ラインが55〜60くらいの私立中学2年などでも小学1年教科書の「たが」について意味が分からないと答えていました。ただ、本をよく読む人間はだいたい「たが」の意味を正確に答えられていたので、ボキャブラリーには、受験でのパフォーマンスより読書量の方が強く相関するのかもしれません。逆にいうと、受験での偏差値や在籍校は、日本語知識の豊富さを反映したものとは別物、とも言えます。
1 / 11
日本漢字能力検定