江藤塾

メニュー

新着情報 etalk 当塾からのお知らせです

都立小石川中学校適性試験Ⅰ 平成27年度 江藤塾版解答例

平成27年の適性試験の中で唯一、適性試験1・問題3の解答例については都立小石川が発表していません。おそらくは受験生に型にはまった内容を書くクセを付けて欲しくないからだと推察されます(あるいは、発想は自由だというメタメッセージをこの上なく明晰に出したのかもしれませんが)。
ただ、作文・小論文系テストの中では非常に良問であるので、せっかくだから解答例を作成します。

設問:人が何かを伝えあうときには、どのようなことが重要だと思いますか。文章1と文章2、それぞれの要点を踏まえ、あなたの考えを、三段落構成にまとめ、400字以上440字以内で書きなさい。(以下略)

解答例:
 2つの文章はコミュニケーションに関して、対極的な点を強調したものである。すなわち文章1は曖昧さのない明晰な表現を重視するべきと唄っているのに対して、文章2は情報化され得ないレベルのメタメッセージの意義を説いている。
 だが、両者の見解は別に矛盾するものではなく、両立可能であると私は考える。すなわち前者が問題としているのは科学の世界、とりわけ理系の言語表現であるのに対して、後者は言語化できないレベルの体験における意思疎通が人間にとって果たす重要性を主張しているわけである。すなわち前提としている状況が異なるからである。そして実際、人間の人生は体験と思索、双方の面からなっている。
 ならば曖昧な情報化できないコミュニケーションが重要なことを踏まえた上で、明晰に語り得ることが必要な場面では、内容について明確に言語化して伝えるべきだ。そしてそのためには人同士が、「どのレベルで伝えたいのか」という意図に付いて誤解の生じないよう、一定のコンセンサスを形成しつつ対話することが重要である。(438文字)

解題:日本語表現の曖昧さを問題としつつ、明晰な表現の重要性を説く文章1と、メッセージの多元性について強調する文章2の要旨を前の問題までで抽出させた後で、「人が何かを伝えあうときには、どのようなことが重要だと思いますか」と問う問題であす。
文章1および2を対比して論じさせることで、受験生の読解力および文章構成力を問うています。解答のポイントは①文章1と2の共通項について何かということを踏まえて②設問の指示に従って「なにが重要と思うか」上で論じていくことです。
答案例では、①両者の共通点について最初の一文で「頭出し」することで、採点社へ、出題意図を理解したことを伝えることを狙う書きぶりにして②両者の文章が持っている前提を問題点としつつ③その問題点の前提把握が重要だという結論にしてあります。
結論の作り方はどうでもよいですが、課題文同士の関係を冒頭で「頭出し」するのは有効と思われます。もっとも、三段落構成という指示のみなので、①一段落目で文章1の要点、②二段落目で文章2の要点、③三段落目で両者の相違点と、自分の考えを書くというシンプルな構成でも構いません。(難しい学校とはいっても、中学受験なので、そのレベルでまとまっていれば十分に合格点が付くと思われます。)

なお、課題文については著作権の関係から省略します。(下記、小石川中学校のリンク先に掲載されているのでご覧ください)
http://www.koishikawachuto-e.metro.tokyo.jp/cms/html/entry/52/file1792.pdf
1 / 11
日本漢字能力検定