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江藤塾 開成中の部分点・配点基準 平成26年国語の解説

中学受験でなかなか分からないのが、国語論述問題の採点基準です。
少なくともウェブ公開は見当たりませんでした。

そこで、江藤塾の、体験授業で使用した答案採点基準をブログで公開します。これより実際の入試が甘いか辛いかは分からないですが、「凄まじく外れた」基準ではないだろうと考えています。なお、この採点基準作成の参考は、開成中学・高校が出題形式からして明らかに模倣している東京大学の入試国語に関して、大手予備校が実施している模擬試験などです。詩の部分は(基準があるのですが)いまのところ内部生さんonlyとしています。

大手中学受験塾などで、論述の採点基準が分からない、ちゃんと説明してもらえないと嘆いておられるかたは参考にしていただければと思います。(ちなみに弊塾では、麻布・海城などの社会論述も同様に採点基準を作成した上で、授業をしています。なお優秀な生徒の子からは、採点基準についても、日々「どうしてそうなのか、それでいいのか」という疑問をもらっていて教える側としては冥利に尽きます。2月21日追記:塾生からもらった良質な質問を踏まえて、内容を補足・付加しました。

なおこの基準は基本的に、高校受験でも、開成高校や灘高校といった東京大学の国語を真似たチートな出題をしている学校の採点基準を推測する参考に活用していただけるものです。

江藤塾  開成中・平成26年国語の解説(一部)

採点基準 各問 12点満点

開成中学は、他の多くの学校と同様、採点基準を明示していません。なので減点法か加点法か、あるいは両方の要素を加味しているのかは不明です。ちなみに今回の採点基準(推定)は減点法型で書いていますが、加点法方式で同じ事を書くのも出来るので、あまり加点法か減点法かは気にせずに、素直に①本分を理解して②設問に答えることを意識して下さい 。

問2 「余計なこと」とあるので、僕が何をしたか(子供の遊び場を残したいという善意で、大人達にお化け遊びの秘密を伝えた)と、それがなぜ余計か(結果としてお化け遊びの楽しみが台無しになった)を書いている必要があります。基本的に、この2つの要素が意味の通る日本語で書いてあれば12点です。
減点要素
答案の語尾が「だから」など、理由を説明するかたちになっていない(−1点)
誤字、脱字、文法ミスがある(1個でー1点。最大でー2点)
僕がやったことの具体的な内容が、説明されていない(−5点)
子供達が①お化け遊びの秘密を大人に知られて、②遊びをやめたという結末が説明されていない(—6点)

問3 アとイの違いについては、説明方法に幅があり得ます。例えば、①アは根拠が付いていない露骨な迷信なのに、イはいちおうの理由付けがされているとも言えます。②あるいは、アはやった本人が報いを受けるのに対してイでは、間接的な被害が生じる、という説明も可能でしょう。いずれにしろ、「自分の言葉で」というタイプの設問は正答に幅があります。ただし、違いを説明することとあるので、「のに対して」など、くっきりとコントラストを示す表現を使ってください。
減点要素
アイの記号を使うという問題文の指示に従っていない(—10点)
自分の言葉を使わず、文中からの単なる抜き出し答案になっている(—8点)
両者の「違いを説明」していない。または説明が本文からずれている(—10点)
誤字、脱字、文法ミスがある(1個でー1点。最大でー2点)

問4 答えるべきことは明確で、①草刈りという方法では、地面を乾燥しきれないため、蚊の退治が本当にはできないという点と②逆に蚊を完全に退治する方法をとって地面を乾燥させきった場合、環境を美化するどころかかえって損ねる結果になる、という点を示すことが出来れば大丈夫です。
減点要素
問題文の指示に従って解答欄二つに、きれいに二つのポイントを分けた説明をしていない。(−6点)
二つの問題を具体的に示せていない(1つにつき、—4点)
誤字、脱字、文法ミスがある(1個でー1点。最大でー2点)

問5
傍線部にある「そこ」は(=祟りの思想)のことで、筆者が文中で二つ上げて説明した、自然への干渉は予想外の事態につながるということを指します。それを踏まえた上で「もう一度考えなおしてみる必要がある」と筆者はいっているわけです。設問ではその傍線部について「どのように考えなおす必要があるというのですか。」と説明を求められているので、①筆者が問題としている現在の考え方=近視眼的なものの見方が問題であり、②自然に人間が手を加えると予想外の結果になる危険を認識すべきだ、という趣旨の内容が答えになります。
減点要素
設問で「考えなおす」とされる①今の我々の考え(近視眼的なものの見方)を示せていない(—6点)
②自然に手を加えると、予想外の結果を招くことがあるという筆者の意見についてふれていない(−6点)
③予想外の結果について、「負の」などの表現で、悪い結果な可能性を示せていない(—2点)
①から②へ変化させる必要があるということを分かりやすい表現でかいていない(—5点)
誤字、脱字、文法ミスがある(1個でー1点。最大でー2点)

以下、略。

完全な配点表(推定)は、江藤塾へお問い合わせ下さい。なおこの点数推測は、あくまで開成中と類似した別の試験(開成がモデルにしている事のほぼあきらかな東大現代文の、予備校実施模試)をもとにしているに過ぎず、確実なものではないことを申し添えます。

ただ一方で、①開成中の配点表は自分の知る限り大手予備校も出しておらず、たぶん公表された唯一のものであることと②この点数が実際に試験でつくかはともかく、一定規模の「受験者集団」の中で順位付けをするには有効であると、考えています。

2016/02/16
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