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中学受験の社会について考える:奇問と教養試験と良問と

中学入試には、各校ごとに面白い特色があります。
例えば社会だと、麻布中学は180字ほどまでの自由論述を出したり(塾長個人的には好きな問題です)します。

ところで、戸惑うのが東京都内男子御三家の一角にして東大合格者数ナンバーワンを毎年のように更新する、開成の中学受験での社会です。

例えば、江戸時代からの東京のローカルな話が知識として問われます。例えば東京駅西側の地名、八重洲の語源がオランダ人のヤン・ヨーステンであるとか、かつて電気街になる前の秋葉原が何の市場だったか、などです(答えは青果市場)。

これは家庭での会話を通して、教養を培ってきているかどうかを見ているようにも思えます。ただ、後者の設問などは「たまたま」首都圏に引っ越してきたばかりの家庭などには話題になりにくい話です。あまり良質な問題とは思えません(九州育ちの自分は、12歳の時に秋葉原がどんなところだったかなど知るよしもなかったです。中学くらいで、東京の大学に昔通っていた方から話を聞いて青物市場があったんだと本当に偶然しりましたが)。

このクイズ問題、誰も得をしないと思います。国語などはズルいくらいに東大入試を模して、東大受験の適正がある生徒をセレクションしているのに(もっとも、麻布中の方が先にやらかしたワザですが)、社会だけは意味のない問題を聞いてきます。

なお、個人的に社会の問題で質がまともと思うのは海城中学、栄光学園中学、麻布中学です(海城がいちばん先進的に、意味のある「歴史学」に近い問題でなおかつ大学受験対策にも有効な問題を出してきていると思っていますが)。

ちなみに同様に、「桃の生産量が日本でいちばん多い県」や「日本で3番目に長い川」を問う学校も、あまり社会科の教育がよくないのではないかと推定しています。というのは、大学受験以降、2度と問われない知識だからです。いっぽう、同じクイズ問題でも、どうせなら高校受験や大学受験で出題される内容(例えば日米和親条約やら、対馬の役割りやら)を聞いてあげたほうが生徒の受験学力が、自動的に上がった状態で入学してくれます。
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